制作うらばなし
人柄力を書くに当たって
この本の執筆のきっかけは、非常に単純な動機です。
弊社のインバスケット教材でトレーニングし、ステップアップされた方からのご質問でした。
「リーダーになった次にするべき勉強ってなんでしょう」
私自身も管理職になった時に同じ思いを持ちました。
肩書きが付くと神通力が付いたかのように、もう勉強しなくてもよい、などとも考えました。
しかし、実際にチームを運営すると、インバスケットで発揮した能力、つまり判断力や組織活用力などだけでは、うまく仕事の成果が出ない事に気付きます。
そのうちに、どうして成果が出ないのか、どうしてうちのチームは問題ばかり起こるのか、そのように考えだして、結果的には、メンバーが悪い、等となってしまうこともあるのです。
一方でインバスケットが出来なくても、リーダーとして立派にチームを運営され成果を出す方もいます。
きっと、要領がいいんだな。
そう思われるかもしれませんが、次第に、これはその方の人間力だと気付くのです。
人間力と言えば漠然としており、私はそれを「人柄力」として、自分も、周りからささえられるリーダーになりたい。そして人間的にもっと成長したいと願望を抱きました。
当初、人柄力は、弊社の教材で管理者に合格された方への、ささやかなプレゼントとして、自分のノートに、人柄力のある方の行動特性を書き始めたのがきっかけです。
その後メルマガに掲載すると、インバスケットのネタよりも、この人柄に関する記事のほうが人気があったのです。
多くの方は、仕事上だけではなく、もっと価値のある人間になりたいという願望をお持ちなのです。
私自身も、死ぬまでには人柄のよい人間と呼ばれることを目標としています。
でも、漠然と人柄が良い人間になりたいと思っても、具体的では無いので、人柄のよい方の行動特性を真似することがトレーニングと考えました。
そして、お会いする方の人柄力の特性を抜き出し、ミックスして、人柄力のある人の行動パターンを分析しました。
せっかくインバスケットを研究している身分なので、インバスケットを活用して、人柄力を測定し、人柄力を発揮するに当たり自分のどの部分が課題なのかを見たいとも考えました。
そう考えて進めている間に、数社の出版社から、メルマガで掲載している人柄力を、書籍化したいとお申し出を頂きました。
このお申し出、非常にありがたいのですが、実は当初はお断りをしていました。
理由は、商業出版がゆえに、売れる本と言う前提で、内容や題名などが歪曲されることを嫌ったからです。
だから、自費出版や印刷物として世に出す決意を持っていました。
しかし、内容を詰めて行くうちに、内容や構成は殆ど元原稿のままで、かつ、人柄力と言う一番伝えたいことをタイトルにして頂けるというお申し出から、商業出版として刊行されたという裏話もあります。
一方で、人柄力の本を書く人間として、自分の行動も変えました。
些細なことですが、
・たとえ車が走ってなくても赤信号は渡らない
・部下の叱り方を変える。行動に対して叱る
・人を辱めない
・落ちているごみを拾う
このような事で人柄力になるかは現在実践中ですが、やってみると非常に気持ち良く、幸せな気持ちになります。
今、私はこの本を自分自身の教科書として一つずつ実践していき、いつか
「この本を書いた著者として」
ではなく、
「人柄のよい鳥原さん」
と呼ばれて、皆さまとお会いできることを目指しています。